吐き出した内臓を12日間で再生、「驚異的な能力」を持つホヤ、再生医療のような分野にも?

このたび、サンゴ礁でよく見られる熱帯地方のホヤの一種(Polycarpa Mytiligera)が、危険が迫ると内臓を吐き出して死んだ振りをした後、12日間でその内臓を再生する様子が映像記録されている。人間の組織再生の研究にもつながる可能性はあるようだ。

このたび、サンゴ礁でよく見られる熱帯地方のホヤの一種(Polycarpa Mytiligera)が、危険が迫ると内臓を吐き出して死んだ振りをした後、12日間でその内臓を再生する様子が映像記録されている。人間の組織再生の研究にもつながる可能性はあるようだ。

再生能力の高い生物

イスラエルのテルアビブ大学の研究グループが、有力科学誌ネイチャーのオンライン姉妹誌サイエンティフィック・リポーツで2015年4月に報告しているもの。同大学が紹介している。研究グループによると、切断されても再生する生物として、ヒドロ虫やウズムシ、ヤモリなどがあるという。特定の生物種が持つ、身体の一部を再生する能力は、人間の細胞の信号伝達、発達、適応の研究に貴重なデータになってくる。

縮んで死んだ振り

研究グループは高い再生能力を持つ生物としてホヤに注目している。このホヤはエサになる水中の小さな粒子などをフィルターのような構造物でこし取って食べる生物となる。日本でもホヤの一種は食べられているのでよく知られているだろう。アラビア半島とシナイ半島の間にあるアカバ湾では最も多い生物で、世界的にも最多に数えられるという。水中でこのホやの分布などを調べていた研究グループは、このホヤが何かを放出してすぐに縮み、まるで死んだようになって、さらに数日後には「生き返った」かのように元に戻るという現象を発見した。その様子を撮影して観察したところ、ホヤは鰓嚢(さいのう)という水をこす器官を破って内臓を吐き出し、機械的な圧力を使って縮むが、12日以内に内臓を再生し、19日以内には鰓嚢を再建すると判明した。

人間と多くの共通性

吐き出された内臓は、周囲の魚は食べなかったが、調べても毒性ではなく、通常の化学分析では検出されない何か魚には食べられないものが含まれていると解説する。研究グループは、防御システムと見ている。ホヤ類は「尾索(びさく)動物」と呼ばれ、人間を含む脊椎動物とまとめて「脊索動物門」に分類されており、人間とは近い類似性があるという。生化学や細胞のプロセスの点で多くの共通性があるところが重要という。ホヤの再生について調べることは、人の軟組織の再生に関する研究につながると研究グループは見ている。例えば、再生医療のような分野にも応用が広がるのかもしれない。

文献情報

Sci Rep. 2015 Apr 16;5:9614. doi: 10.1038/srep09614. Research Support, Non-U.S. Gov't

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